haloのブログ

個人的体験と信頼できると思われる資料を基に書いていきます

アミノ酸キレート鉄「フェロケル」について 鉄はキレート化させると吸収しやすくなる

鉄サプリについて書きかけのままずっと放置していました。やれやれです。
文章を書くと頭が疲れますね・・・。
本はなんとか読めるようになったのですけど、読むのと書くのでは、頭の中の配線が違うみたいです。


今回は鉄サプリのフェロケルについて書いているのですけれど、私はまだ使ったことがないため、体験談ではありません。すみません。

海外製品なのでちょっとハードルが高いかな、と思っていたのですけど、今は10代の学生が海外からスマートドラッグを個人輸入して飲んでいる時代みたいですね。
おかげでスマートドラッグの禁止を検討する話が厚労省のほうで出てきているとか。
成長途中の青少年には制限が必要だと思うけど、ADHDグレーゾーンの人は困りそう・・・。


話を戻して。

私が実際に試したのは、「食事中に薄めたレモン汁を飲む」でした。
胃酸が少ない人にお勧めの方法です。砂糖なしですけど、慣れるとおいしいですよ。

カンジダ除菌には鉄サプリの使用は禁忌だそうですので、今は鉄サプリを中止していますが、レモン水のほうは、レモン汁をリンゴ酢に代えて引き続き飲んでいます。


吸収率の高さで話題の鉄サプリ「フェロケル」

つい最近まで、私は全く知らなかったのですが、鉄サプリは「フェロケル」が良いそうです。

以前にも貧血関係で紹介したふじかわ心療内科クリニックの藤川先生が、実際に患者さんに使ってもらって貧血の改善傾向を見てみたところ、ヘム鉄よりも効果が高かったのだとか。

フェロケルの吸収率が実際にどのくらいなのか、そのはっきりした数値は分からなかったのですが、藤川医師によれば、ヘム鉄からフェロケルに替えると、フェリチン値(貯蔵鉄)が上昇する人が多かったということでした。

1)女性の鉄不足患者の70%は鉄剤投与にて数ヶ月かけてフェリチン値はグングン上昇する
2)25%の患者は鉄剤投与にてもフェリチン値が上がらず、10~40程度で停滞する
3)5%の患者は鉄剤が飲めない、最重度の鉄タンパク不足の患者
 
1)の患者は普通に鉄剤治療で良い
問題は2)3)の患者
 
症例2と3は2)の患者群
フェロケルで顕著な効果を示す患者とあまり変化を示さない患者がいる
ここらはさらに症例を増やして観察予定
 
症例1は3)の患者群
今までは鉄剤が飲めないと為す術がなかった
このような患者にはフェロケルが有効なことが明らかになった
フェロケルは鉄剤と比べ消化器症状による脱落が格段に少ない

ameblo.jp

藤川先生の著書が7月に刊行されるようですので、こちらに詳細が書かれていると思います。

『うつ・パニックは「鉄」不足が原因だった 』(光文社新書)


フェロケルはどんな鉄?

フェロケルとは、アミノ酸でキレート化した鉄(ビスグリシネート・キレート鉄)を主成分とする鉄サプリメントです。
キレート鉄は、ヘム鉄*1や非ヘム鉄*2とはまた別のタイプの鉄という扱いのようです。

でもフェロケルは、植物由来の鉄らしいですね。ということは三価鉄でしょうか(この点、はっきりしたら修正します)。

フェロケルはAlbion Laboratoriesという会社の登録商標になっています。

この会社が特許を取った製法にフェロケルという名称が付いていて、このフェロケル製法で作られたキレート鉄(成分中にフェロケルという記載があります)のサプリメント製品が、海外ではいくつか発売されています。

たくさんあるフェロケル製品

下に挙げた鉄サプリ製品は、値段や添加物がそれぞれ違いますが、全て「フェロケル」またはフェロケルと同じ成分である「ビスグリシネート鉄/ビスグリシン酸鉄」のサプリメントです。

ちなみに藤井先生のブログで紹介されていたフェロケル製品は、1番目のNOW FoodsのIRONと2番目のアドバンスト・フェロチェルです。

[asin:B00FYOU6AG:title]
Source Naturals, アドバンスト・フェロチェル, 180 錠 - iHerb.com
鉄 18mg も激安直送 - アメリカ製サプリメントのサプマート
Nature's Plus, 鉄、 40 mg、 180タブレット - iHerb.com
Bluebonnet Nutrition, キレート鉄、18 mg、90ベジキャップ - iHerb.com
Country Life, イージー・アイロン、 25 mg、ベジキャップ90 錠 - iHerb.com


キレート鉄(キレート化した鉄)とは?

キレート鉄については、こちらの説明が分かりやすかったので貼っておきます。
犬(ドッグフード)のサイトですけど・・・わんこは人類のパートナーということで大目にみてください。

アミノ酸キレート(英名Iron amino acid chelate)は、体に必須の微量元素である鉄とアミノ酸を結合させたもの。キレートアミノ酸鉄、アミノ酸キレート化鉄とも呼ばれる。
 
キレートとは、配位子と呼ばれる化合物が1つの金属イオンを中心に挟むこむ(あるいは包み込む)ようにして結合することをいい、配位子にアミノ酸が結合している場合この化合物をアミノ酸キレートと呼ぶ。
 -中略-
アミノ酸やタンパク質とキレート結合させた亜鉛や銅、マンガンなどのミネラル成分は、有機酸と結合させた有機ミネラルや無機ミネラルよりも吸収がよく体内に長期で留まる傾向にあることが分かり、以来サプリメント食品やペットフード、動物飼料などへ添加されるミネラル成分は、アミノ酸やタンパク質とキレート結合させた化合物が用いられることが増えてきた。
 -後略-

www.dogplus.me

要するにキレート鉄とはアミノ酸たんぱく質と結合(キレート)させた鉄のことで、そのキレート鉄のほうが有機酸と結合させた鉄よりも吸収率が良く、効果が高いということですね。

アミノ酸キレート鉄(Iron amino acid chelate)については、ネット上でも幾つかの研究論文を読むことができます(英文)。

www.ncbi.nlm.nih.gov

こちらのアブストラクトには、「アミノ酸キレート鉄は、鉄の吸収に関わるエンハンサー*3やインヒビター*4による影響を受けるが、硫酸第一鉄*5よりもその程度は低い」と書かれています。

こ論文中に出てくる 第一鉄ビスグリシンキレート(Ferrous bis-glycine chelate (FeBC))がフェロケルです。

FeBCが鉄欠乏性貧血の治療に有効であることが、補充試験によって実証されている」とも記載されています。

つまり、フェロケルに代表されるアミノ酸キレート鉄は、体質や鉄の吸収を邪魔するものの影響を他の鉄よりも受けにくく、鉄欠乏性貧血の治療に有効だという内容です。


ちなみに病院で処方される鉄剤の成分は、クエン酸第一鉄ナトリウム(薬剤名:フェロミア)、フマル酸第一鉄(フェマル)、溶性ピロリン酸第二鉄(インクレミンシロップ)です。

フェロミアやフェルムとこのFeBCを比較しているデータは、残念ながら見つけられませんでした。

「鉄のキレート剤」とは逆の作用

ところで、病院などで使用される薬には、鉄キレート剤というものもあります。
こちらは体内から鉄を排出させるための薬で、鉄過剰症の患者さんに処方されます。

※鉄代謝異常などの疾患を持っていない限り、経口での鉄剤摂取で鉄過剰になることはまずありません。

鉄キレート剤は、体内に過剰に溜まった鉄を排出させるための薬。

キレート鉄は、体内に鉄を補い鉄欠乏性貧血を改善するためのサプリメント

呼び方はそっくりですが、作用は全く逆です。
私は最初、フェロケルを鉄キレート剤だと勘違いして、「貧血なのに鉄キレート剤飲むの? えっホント???」ってなりました(笑)

鉄キレート剤との混乱を避けるため、フェロケルなどの Iron amino acid chelate を、ここでは「キレート鉄」または「アミノ酸キレート鉄」と呼ぶことにしています。


鉄を排出するほうの鉄キレート剤は、少なくとも日本では、医療現場でだけ使用される薬だと思っていいと思います。

海外製品では鉄キレートのサプリメントもあります*6が、その中にはあまり安全ではないものもあるらしいので、間違って購入しないようにしてくださいね。(何年か前に海外のサプリ情報で注意喚起されていました)

ヘム鉄・非ヘム鉄・キレート鉄の吸収率

以前に、ヘム鉄と非ヘム鉄の吸収率をそれぞれ1%、10%と書いたのですが、いろいろ見てみると数字が違っていますね*7・・・。

愛知県栄養士会のサイトでは、ヘム鉄の吸収率は15%~35%、非ヘム鉄では5%以下とあります。

愛知県栄養士会 | おすすめコンテンツ | ちょっと気になる食の情報

アミノ酸キレート鉄(フェロケル)の場合、吸収率は80%ぐらいだという話もあるのですが、確実なところはわかりません。

ですが、フェロケルを飲んだ方のブログでの感想や、前述した藤井先生のブログを拝見する限りでは、やはりこの三種で比較すると、フェロケルが最も吸収が良いようです。


ヘム鉄や非ヘム鉄の吸収率を上げる方法もいくつか調べてみて、実際に試してみました。
近いうちにその方法を紹介したいと思っています。

*1:肉や魚に含まれる動物性の鉄。二価鉄とポルフィリンの化合物。腸で吸収される

*2:ほうれん草などに含まれる植物性の鉄。三価鉄。胃を通って二価鉄に変えられた後に体内に吸収される

*3:遺伝子の転写量を増加させる作用をもつDNA領域

*4:阻害物質。ここでは鉄の吸収を阻害する因子

*5:一般的に食品添加物として利用されている鉄。黒豆を煮るときやナスの漬物の色留めに使われる鉄も硫酸第一鉄です

*6:欧米の方は鉄過剰になる疾患を持っている率が高いためだと思われます

*7:以前の記事は修正しました