カンジダについての誤解・間違い その3
「トイレでの拭き方に注意」は効果あり?
再発経験者への「拭き方に注意」は気休め程度
トイレットペーパーで拭くときに、前から後ろにかけて拭くようにすると良い、という話があります。
そのように患者に指導している医師もいるようです。
腸内にいるカンジダが、本来はカンジダのいなかった膣周辺に移ることを防ぐ、ということであれば、納得できます。
ですが、再発を繰り返すカンジダ症の場合、既に幹部周辺の常在菌の中にカンジダ菌がいると考えた方が、合理的に対処できます。
残念ですが、拭き方だけでは気休め程度の効果しかないと考えたほうがいいでしょう。
再発するカンジダ症の患者さんでは、元々その人自身が常在菌の中にカンジダを保有していて、自家感染を起こしていることがほとんどです。
拭き方への注意が無意味とまではいえませんが、もっと根本的な部分での対抗策が必要となります。
拭き方で症状の再発が抑えられるケース
トイレットペーパーの拭き方で症状の拡大や再発が防げるのは、例えば、パートナーが持っているカンジダが原因となって性器カンジダ症を引き起こしたなどの、局所的な発症の場合です。
つまり、カンジダが異常繁殖しているのは性器周辺のみで、その人自身が元々持っている幹部周辺の常在菌の中にはカンジダがいない、または、割合的に少ない、という場合です。
そういったケースなら、元々膣内や周辺部にいないカンジダを入り込ませないという意味で、前は前、後ろは後ろというように、別々に拭けば一定の効果はあるだろうと思います。
こういった局所的なケースは治りも早く、深刻な状態にもならないと思われます。
病院で処置されてすぐに治り、再発もない場合が多いのではないでしょうか。
ただし、パートナーからカンジダ症をうつされるというケースは稀です。
免疫力が十分なら、常在菌の働きで、カンジダ菌が繁殖することを妨げられるからです。
パートナー・家族
長く付き合っているパートナーがカンジダを持っている場合、そのパートナーに対してカンジダ治療か、抗カンジダ療法を行ったほうが良いでしょう。
性行為が原因でカンジダ菌がうつり、異常繁殖してカンジダ症になることは稀なのですが、生活を一緒にしている相手となると、少し話が違ってきます。
以前の記事中に、健康なら常在菌のバランスは崩れないと書きました。
バランスを崩して健康を害するようなことはありませんし、完全に同じにはなりませんが、生活を共にする家族や、触れあうことが多いパートナー同士の常在菌の構成は、次第に似通ったものになっていきます。