haloのブログ

脳疲労、ブレイン・フォグ、慢性疲労、ADHDなどについて、個人的体験と信頼できると思われる資料を基に書いていきます

腎疾患があったら注意! 軽度認知症が悪化する危険性は女性の方が高いらしい

自分では何とか生活できるレベルである「軽度認知症が、援助や介護を受けないと生活自体ができなくなる深刻な認知症」になってしまう危険性は、男性よりも女性の方が高いという報告が東京大学から出されました。

今月の12日にプレスリリースされたばかりの情報でもありますので、取り急ぎ書いておきます。

以前から、私のブレイン・フォグは軽度認知症の状態だったのではないか、という疑問を持っていたので、自分としてはかなり気になるニュースです。


軽度認知障害における認知機能低下の加速因子を同定 | 東京大学医学部附属病院
プレスリリース

◆ 日本人の軽度認知障害において認知機能低下の進行を促進、抑制する因子を特定した。
認知機能の悪化を促進する因子としては、女性であること、そして女性ではさらに軽度の腎機能低下があることが見出された。この傾向は日本人女性においてのみ見られた。一方で教育年数の長い男性では悪化が抑制された。
◆ 女性では特に高血圧などの生活習慣病の管理が重要である事が示唆された。

この結果に影響を与えそうな因子として、被験者がもともと進行型の認知症疾患であるアルツハイマー病を持っているかどうか、またアルツハイマー病に関わる危険因子(APOE 遺伝子多型)を持っているかどうかが確認されていますが、男女間で大きな差はなかったとされています。

女性の軽度認知障害*1の方が悪化し易い要因として、慢性腎臓病のグレードが高いことが見出されました。
その理由として、長年の高血圧や動脈硬化によって脳の小血管の障害を来たすことが、認知機能障害の進行に関係することを想定しました。
 
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男性では、教育年数が長いことで認知予備能*2が培われた可能性が示されています。
この効果は、残念ながら女性では認められていないそうです。

この報告では、性差で認知症リスクが違い、さらに予備能の獲得力も違うということですので、女性の方は特に普段からの注意が必要だと思います。

女性側のリスクには、慢性腎臓病が関わっていることが示されています。

女性で進行が早い原因をさらに追求した結果、慢性腎臓病のグレードが高い方で進行が早いことが分かりました(図D)。
慢性腎臓病の G1(正常)から G5(末期腎不全)までのグレードのうち、J-ADNI 研究の参加者には G1 から G3(中等度低下)までの方が含まれました。
このうち、女性で G1 の方はG2(軽度低下)以上の方に比べて進行が遅いことがわかりました。
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その理由として、女性ではG2 以上の方は微小な動脈硬化性の病変、すなわち慢性虚血性変化*3が脳で生じやすく、認知機能の悪化に拍車をかけている可能性が推測されました。
一方で,北米の ADNI 研究データを利用した解析では同様の結果は得られませんでした。

本研究の結果からは、日本人では高血圧や糖尿病、脂質異常症などの生活習慣病の改善が軽度認知障害から認知症への移行*4の抑制に重要であり、その効果は特に女性に顕著であると考えられます。

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腎臓の疾患は、現状維持だけでも大変だと思うのですが、何とか悪化しないよう気をつけて生活することが大切ですね・・・。



【発表雑誌】
雑誌名:Alzheimer’s and Dementia: Translational Research & Clinical Interventions
論文タイトル:Effects of sex, educational background, and chronic kidney disease grading
on longitudinal cognitive and functional decline in patients in the Japanese
Alzheimer’s disease neuroimaging initiative (ADNI) study
著者:Atsushi Iwata, Takeshi Iwatsubo, Ryoko Ihara, Kazushi Suzuki, Yutaka Matsuyama,
Naoki Tomita, Hiroyuki Arai, Kenji Ishii, Michio Senda, Kengo Ito, Takeshi Ikeuchi,
Ryozo Kuwano, Hiroshi Matsuda, Alzheimer’s Disease Neuroimaging Initiative
(ADNI) and Japanese ADNI
DOI 番号: 10.1016/j.trci.2018.06.008

*1:認知機能が同年齢と比較して有意に低下しているにもかかわらず、日常生活では自立した状態を指す。認知症の前段階と考えられているが、日常生活で援助が必要な認知症とは一線を画す。

*2:多少脳が障害されても症状を出さずにいられるための力のこと。

*3:脳の非常に細い血管は加齢と共に変質し、小さな血管の閉塞をおこしていきます。これらは最初のうちはほとんど症状を出さず、徐々に蓄積していき、脳の MRI を撮像するとこれらを信号の異常として捉えることができます。慢性虚血性変化の原因は特殊な疾患を除けば加齢、高血圧、糖尿病、脂質異常症、喫煙が関与すると言われていますのでそれらの管理が重要と考えられています。

*4:軽度認知障害が進行し、日常生活での自立性が失われると認知症と診断されることがあります。進行性のアルツハイマー病などが軽度認知障害の背景にある場合、認知症に移行する可能性は高くなります。